自動車は私たちの生活に欠かせない存在となっています。便利な反面、維持費や事故のリスク、環境への影響など、様々な課題も抱えています。ソニー損害保険株式会社が実施した「2024年 全国カーライフ実態調査」から、現代の車社会の実態と、これからの方向性について考えてみましょう。
1ヶ月あたりの維持費
まず目を引くのは、車の維持費の上昇です。1ヶ月あたりの平均維持費は13,900円で、4年連続で増加しています。特に「ガソリン代・燃料代」を負担に感じる人が68.4%と最も多く、原油価格高騰や円安の影響が如実に表れています。この状況を受けて、ドライバーたちは様々な節約策を講じています。セルフ式ガソリンスタンドの利用(37.2%)や、急発進・急停車を控える(32.4%)などの工夫が見られます。
こうした経済的負担の増加は、車選びにも影響を与えています。次に購入したい車のエンジン・モーターのタイプを見ると、ガソリン自動車(39.5%)とハイブリッド自動車(38.7%)がほぼ拮抗しています。特筆すべきは、ハイブリッド自動車の所有率が24.8%と、前年から5.8ポイント上昇したことです。燃費性能の向上と環境への配慮が、車選びの重要な要素になってきていることがうかがえます。
安全面での課題
安全面では、ドライブレコーダーの搭載率が51.9%と半数を超えています。また、定速走行・車間距離制御装置(ACC)の搭載率も31.6%と、前年から3.4ポイント上昇しました。これらの数字は、安全運転支援技術への関心の高まりを示しています。
一方で、交通規則に関する認識には課題が残ります。例えば、「信号待ちのタイミングで運転手を交代する」行為が違反だと知っていた人は26.0%にとどまりました。交通ルールの周知徹底は、引き続き重要な課題と言えるでしょう。
自然災害による車への被害も無視できません。22.3%の人が自然災害による車の被害を経験しており、その中で最も多かったのは台風(42.2%)でした。しかし、自然災害から車を守るための対策を講じている人は22.9%にとどまっています。気候変動の影響で自然災害のリスクが高まる中、この数字は決して高いとは言えません。
興味深いのは、10代・20代の若いドライバーの意識です。冠水した道路への対応を聞いた質問では、この年代で「わからない」と答えた人が18.0%と、他の年代に比べて多くなりました。若年層への安全教育の重要性を示唆するデータと言えるでしょう。
これからの車社会
最後に、交通安全のPRに起用してほしい人物として、男性アスリートでは大谷翔平選手が圧倒的な支持を集めました。スポーツ界のヒーローが交通安全の啓発に一役買う可能性を示唆しています。
この調査結果から、現代の車社会の課題と可能性が浮かび上がってきます。経済的負担の増加や環境への配慮から、よりエコで効率的な車への移行が進んでいます。同時に、安全技術の進化と普及も着実に進んでいます。
一方で、交通ルールの認識や自然災害への備えなど、ドライバー教育の重要性も浮き彫りになりました。特に若年層への教育は喫緊の課題と言えるでしょう。
これからの車社会は、テクノロジーの進化と人間の意識改革の両輪で発展していく必要があります。より安全で環境にやさしく、そして経済的な車社会の実現に向けて、私たち一人一人が意識を高め、行動を変えていくことが求められています。