2024年ラーメン店倒産、過去最多の57件を記録 人気の「醤油・豚骨」で半数超え

2024年ラーメン店倒産、過去最多の57件を記録 人気の「醤油・豚骨」で半数超え

2024年、ラーメン店の倒産件数が過去最多の57件に達した。東京商工リサーチの調査が、その事実を明らかにした。前年比26.6%増という大幅な増加は、2023年の45件を大きく上回る。

人気ジャンルも例外なく淘汰の波に

倒産したラーメン店のスープの種類を見ると、「醤油・中華」が29.8%、「とんこつ」が24.5%と、二大人気ジャンルで半数以上を占める。次いで、「味噌」が12.2%、「塩」が8.7%と続く。人気のジャンルであっても、味、具材、量、価格で顧客を魅了できなければ、生き残りは困難な状況だ。

ラーメン業界、厳しい現状に直面

ラーメン店は小規模でも開業しやすく、新規参入が多い。しかし、競争は激化の一途を辿り、廃業率も高い。コロナ禍では、支援策が奏功し、2022年の倒産は21件に減少した。しかし、コロナ禍が落ち着くと同時に、物価高と人手不足が深刻化する。

材料費や光熱費の高騰、人件費の上昇など、コストは増加の一途。一方、多くのラーメン店は「1,000円の壁」に阻まれ、価格転嫁が難しい状況だ。特徴のないラーメン店は、収益が悪化し、倒産に至るケースが増加している。

倒産の主因は「販売不振」

2024年のラーメン店の倒産原因は、「販売不振」が42件(構成比73.6%)と、7割以上を占める。負債額は1億円未満が50件(同87.7%)、従業員5人未満が49件(同85.9%)と、小規模なラーメン店が、物価高と売上不振の二重苦に苦しんでいる状況が浮き彫りになる。

2024年2月には、人気店だった(株)ブロスアップ(宮城県仙台市)が民事再生法を申請。コロナ禍での投資失敗や原材料価格の高騰が原因で、負債総額は約2億6,000万円に上った。

都市部で倒産が顕著

地区別に見ると、関東が25件と最も多く、次いで近畿が13件、北陸が6件と、都市部での倒産が目立つ。業歴10年未満の店舗が22件と、全体の6割近くを占め、新規参入したラーメン店の淘汰が進んでいることがわかる。

今後の展望

今後は、仕入れルートの開拓、差別化、オペレーションの効率化など、時代の変化に柔軟に対応しなければ、ラーメン店の淘汰はさらに加速する可能性が高い。