8月15日、小売セクターで前日比10%超となったのは、値上がり3銘柄、値下がり5銘柄の合計8銘柄となりました。
値上がり率のトップは、和心(9271)で、14日の10%超の値下がりから一転、ストップ高となりました。
8月14日の大引後の同社の決算発表による業績改善の報道が影響しています。以下がそのポイントです。
1.上期最終黒字浮上と通期計画超過: 和心は23年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結最終損益が1600万円の黒字となり、前年同期の9600万円の赤字から業績が改善しました。さらに、通期計画の8700万円の赤字を既に上回っています。この業績改善は投資家にとってポジティブなサインとなります。
2.下期の見通し: 和心の会社側が発表した上期実績と据え置いた通期計画に基づいて、下期(7-12月期)の連結最終損益が1億0300万円の赤字に転落する見込みです。ただし、これは前年同期の1400万円の黒字からの逆転となる負の数字です。これについて14日解説しましたが、14日の株価には影響を与えていませんでした。
3.直近3ヵ月の実績: 直近の4-6月期(2Q)の連結最終利益は前年同期比2.7倍の3000万円に急拡大し、売上営業損益率も前年同期の-16.1%から5.3%に急改善しました。これは会社の業績が前向きに推移していることを示す指標です。
投資家は、和心の業績改善や将来の成長見通しに注目し、その結果を受けて株価が上昇したと考えられます。
値上がり率2位はAmidAホールディングス(7671)で、2日連続のストップ高となりました。
ラクスルのTOBの影響が続いているようです。
値上がり率の3位は、コメ兵ホールディングス(2780)でした。
急伸の理由は、以下のポイントが想定されます。
1.業績予想の上方修正: 会社は、宝石、貴金属、時計、バッグなどのリユース事業を展開しており、脱コロナによる経済再開効果や訪日客の増加などによるインバウンド需要の拡大が業績に影響を与えています。そのため、コメ兵ホールディングスは2024年3月期の業績予想を修正しました。営業利益は従来の58億円から72億円に大幅増額され、前期比で39%の増益となる見込みです。
2.株主還元の強化: コメ兵ホールディングスは、好業績を背景に株主への還元策も強化しました。今期の年間配当は従来の計画である76円に対して、12円上乗せして88円に引き上げることが発表されました。前期の実績である60円からも大幅に増加しており、これによって投資家への魅力が高まりました。
これらのポジティブな要因が組み合わさり、コメ兵ホールディングスの業績改善と株主還元の強化が投資家の関心を引き、株価の急伸をもたらしたと考えられます。
順位 | コード | 会社名 | 終値 | 前日比 |
1 | 9271 | 和心 | 463 | 20.89% |
2 | 7671 | AmidAホールディングス | 645 | 18.35% |
3 | 2780 | コメ兵ホールディングス | 5,800 | 16.00% |
値下がり率のトップは、マーケットエンタープライズ(3135)でした。
値下がりの理由は、8月14日に発表された決算のマーケットインパクトによるものと考えられます。
1.通期業績の下振れ: 決算発表の中で、通期の業績見通しにおいて営業利益が当初の計画に比べて下振れることが伝えられました。これはネット型リユース事業の売上が想定を下回ったため、売上総利益が期待を下回ったことによるものであり、信託型ストックオプション関連費用の追加計上や新規拠点の早期収益化に伴う費用増も影響しています。これにより、通期の営業利益が予想を下回ることが明らかになりました。
2.ネット型リユース事業の売上下振れ: ネット型リユース事業において、売上が期待に届かず、売上総利益が想定を下回りました。この要因が通期の業績予想の下振れにつながったと考えられます。売上が目標を達成できなかったことが、投資家の業績への不安を引き起こし、株価の下落に影響を与えました。
3.信託型ストックオプション関連費用の追加計上: 販管費において、信託型ストックオプションに関連する費用が予想外に追加計上されたことが報告されました。これにより、営業利益が当初計画を下回る結果となりました。予想外の費用の追加は、投資家の間で企業の財務状況に対する懸念を引き起こし、株価の急落を招いた可能性があります。
値下がり率の2位は、JFLAホールディングス(3069)でした。8月14日のストップ安からさらに10%超の値下がりが連続しました。
遠下がり率の3位は、キューブ(7112)で、ストップ安となりました。その理由は、以下の要因によるものと考えられます:
1.業績の減少: 2023年12月期第2四半期(23年1月-6月)の決算発表において、キューブの売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益が前年同期に比べて大幅な減少を示しました。特に売上高は12.7%減となり、営業利益、経常利益、四半期純利益もそれぞれ同67.5%減、同67.0%減、同67.3%減という大幅な減少幅を記録しました。市場は企業の業績に対して敏感であり、業績の悪化は投資家の不安を引き起こす要因となります。
2.韓国卸の売上減少: コロナ禍におけるゴルフブームの過熱感が韓国で減少していることが、韓国卸の売上減少の主要な要因として挙げられています。この影響が売上高全体に広がり、売上が前年同期比で減少した結果、業績が悪化したとされています。
3.販売費及び一般管理費の増加: 販売費及び一般管理費が前年同期比で34.2%増加していることが報告されています。この増加は、業容拡大やブランド認知向上のための人材採用、広告宣伝費の増加、新規店舗出店に伴うコストの増加などが影響しています。これにより、営業利益が減少したとされています。
4.業績予想の修正: 同日に行われた業績予想の修正もストップ安の要因となった可能性があります。修正後の業績予想でも売上高や営業利益が減少する見込みであり、これが投資家の不安を強化し、株価の急落に影響を与えた可能性があります。
これらの要因が相まって、キューブの業績悪化や将来の見通しに対する不安が投資家に広がり、株価が急落したと考えられます。
値下がり率の4位は、TORICO(7138)でした。8月14日大引け後(15:30)に決算を発表しましがた、2024年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常損益は3000万円の赤字(前年同期は3000万円の黒字)に転落したことが影響したようです。
値下がり率の5位は、クラダシ(5884)でした。8月14日のストップ安の勢いが止まらず、8月15日も10%超の値下がりとなりました。
順位 | コード | 会社名 | 終値 | 前日比 |
1 | 3135 | マーケットエンタープライズ | 1,227 | -20.27% |
2 | 3069 | JFLAHD | 202 | -18.55% |
3 | 7112 | キューブ | 749 | -16.69% |
4 | 7138 | TORICO | 1,036 | -14.94% |
5 | 5884 | クラダシ | 465 | -14.21% |